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なめらかな吐息はやさしく私の横を通り抜け、ひんやり消えた。金髪でボブヘアー。腕には"she"という文字が書いてある腕輪のようなものが付いている。She=彼女。女性という概念を二重に強調した、それでいて完全なる匿名性を持つShe。誰のものでもない、誰にも縛られない、ありのままでありたい、そんな願いがこもっているのだろうか。次にまた男の子が入ってきてサックスを手に取ると、先のヴォーカルと同じように座りだした。すると中から一人、また一人と人が出てきて、各々の楽器の前で座りだした。ステージの上は誰一人として立っている人はいない。異様な雰囲気。みんなぐったりとして下を向き、ギターと、ヴォーカル、それに電子ピアノのかすかな音だけが会場内を浮遊しているだけだ。寝聡い。観客はじーっと見つめている人や、両手をあげている人、その2パターンに分かれている。私は、ただ混乱していた。こういったパフォーマンスを孕んだライブは初めてだったので、どのように自分の体を動かせばいいのか分からない。巴は?と思いふと横を見てみると、彼女はただただ、まっすぐステージを見つめていた。なぜか私はその姿にドキッときた。巴はいつもどこか肝が座っている。巴を見ながら視界のなかにもう一人ステージの奥から男の子が一人入ってきた。その男の子はステージの中央奥、ドラムセットが置いてある椅子に座った。何かが始まる予感。と、次の瞬間ドラマーが両手に持っているバチをカンカンと二度たたき、腕を上げ、一気にドラムを叩いた。その瞬間、轟音とともにステージ上の人たちが一斉にジャンプをし、うねりと共にラディカルに奏でだした。涼夜から一気に寝熱帯夜へ切り替わる。それとともに、地響きのように会場が揺れる。ヴォーカルはステージ上を頭を振りながら右往左往する。それは最前列にいる観客の髪の毛をも巻き込んだ、ロックな行動。 

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