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美術とは表現者あるいは表現物と、鑑賞者とが相互に作用し合うことなどで、精神的・感覚的な変動を得ようとする活動である。美術作品を鑑賞できる代表的な場として美術館があげられる。では、美術館はどのようにイメージされているのか。マイコムボス株式会社がインターネット上で美術館に関するアンケート調査を行っている。このアンケートによると、12,619人の回答者の37%が「非日常的な場所」、そして31%の人が「幻想的・空想的」と回答している。さらに、自分と美術館との関わりついての項目では46%の人が「感性を豊かにする」、32%の人が「想像力を豊かにする」と回答している。つまり人は美術館に対して非日常的で自分の創造力を活性化してくれる場だと考えていることが分かる。現代の美術館においてこのような鑑賞者に対して作品鑑賞行為をより豊かにするために、様々な鑑賞用ツールを提供している。その中で、21世紀以降注目され始めている鑑賞用ツールとしてモバイル端末が挙げられる。特に2005年度以降はiPhoneやiPad、ブラックベリーに代表されるスマートフォンを利用した例も登場してきている。
 このようなモバイル・メディアを利用した作品鑑賞が担いつつある役割は、「知的刺激とインスピレーションの場 」を可能にする豊富な解説ツールとしての役割である。しかし、モバイル端末に収録されている情報は作品や作家、美術館に関する情報に留まっており、コミュニケーション・ツールとしての役割や、新たな想起・発見に繋がる情報はまだまだ希薄である。また、コミュニケーションを通した鑑賞スタイルの代表的な一つとして対話型鑑賞法が挙げられるが、この鑑賞スタイルは時間の制約を伴い、美術館内で個人単位での鑑賞には適していない。
 本研究は、モバイル端末上で、他者の作品に対する感想から新たな創造性を誘発し、作品に対して多角的にアプローチすることを目的とする。既存の作品情報を受け入れるに留まらず、互いの発想を刺激しながら経験と知識を通して作品を解釈し、思考をまとめて表現する。そのため本研究では、ソーシャルネットワーク上で語られている、作品に対する感想や情報を集約し、他者の感想を閲覧できるシステムを開発する。また、感想に対して形態素解析をすることで、キーワードとなる言葉を抽出し、グラフによる視覚化を行う。視覚化させることによって、他の鑑賞者の作品に関する評価基準と関心度を知るとともに、作品鑑賞する上でのひとつの鑑賞ポイントとして鑑賞することができると考える。さらに、形態素解析によって抽出された言葉に対して、関連する用語を表示させる。このことにより、言葉によって想起できる場面を増やし、想起・発見に繋げるための視野角を広げることができると考える。
 
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